転職面接の服装、どう選ぶ？男女別・状況別マナーと好印象を与えるポイント

転職活動における面接は、あなたの能力や経験をアピールする重要な機会であると同時に、企業があなたという人物を見極める場でもあります。その際、話の内容はもちろんのこと、「服装」も第一印象を大きく左右する要素の一つです。適切な服装を選ぶことは、社会人としてのマナーを示すだけでなく、相手に敬意を払い、真摯な姿勢を伝えることにも繋がります。

「どんな服装で行けば良いのだろう…」「カジュアルな指定の場合はどうすれば？」といった不安を解消し、自信を持って面接に臨めるよう、この記事では転職面接にふさわしい服装の基本から、男女別、オンライン面接、そして「私服でお越しください」と言われた場合など、様々な状況に応じた選び方のポイントを分かりやすく解説します。

なぜ面接で服装が重要なのか？企業が見ていること

面接官は、応募者の服装から以下のような点を見ています。

• 第一印象の形成: 清潔感があり、場にふさわしい服装をしているかは、最初に相手に与える印象を決定づけます。「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえるかどうかの第一歩です。
• 社会人としての常識・ビジネスマナーの確認: TPO（時・場所・場合）をわきまえた服装ができるかは、社会人としての基本的なマナーが身についているかの指標となります。
• 企業文化への適合性: 企業の業種や職種、社風に合った服装をしているかを見ることで、企業文化への適応性を推し量ろうとします。
• 仕事への真摯な姿勢: きちんとした服装で臨むことは、面接という場に対する敬意や、仕事に対する真摯な姿勢の表れと受け取られます。

つまり、服装はあなた自身を表現する「非言語的なメッセージ」でもあるのです。

転職面接の服装の基本：男女共通の原則

どのような状況の面接であっても、以下の基本的な原則を押さえておくことが大切です。

• 清潔感: これが最も重要です。スーツやシャツにシワや汚れがないか、フケや髪の乱れはないか、靴は磨かれているかなど、細部まで気を配りましょう。体臭や口臭にも注意が必要です。
• TPOをわきまえる: 面接を受ける企業の業種（例：金融系、IT系、クリエイティブ系など）、職種、そして社風に合わせた服装を心がけましょう。
• サイズ感: 自分に合ったサイズのものを着用することが基本です。大きすぎたり、小さすぎたりする服装はだらしなく見えたり、窮屈な印象を与えたりします。
• 派手すぎない: 色や柄は、ビジネスシーンにふさわしい落ち着いたものを選びましょう。
• 機能性: 面接中に服装が気になって集中できない、といったことがないよう、ある程度の動きやすさも考慮すると良いでしょう。

【男性編】転職面接の服装：スーツスタイルが基本

特に指定がない限り、男性の転職面接ではビジネススーツを着用するのが一般的です。

• スーツ:
  • 色: ネイビー（濃紺）やチャコールグレーといったダーク系の色が基本で、誠実さや落ち着いた印象を与えます。黒も問題ありませんが、リクルートスーツに見えないよう、素材感や着こなしで社会人らしさを出すと良いでしょう。
  • 柄: 無地が最も無難ですが、目立たないシャドーストライプやピンストライプ程度であれば問題ありません。
  • サイズ: 肩幅が合っているか、袖丈や着丈が適切かなど、ジャストサイズのものを選びましょう。
  • ボタン: ジャケットの一番下のボタンは留めないのがマナーです（2つボタンなら上のみ、3つボタンなら真ん中のみか上2つ）。
• シャツ:
  • 色: 白無地の長袖が最もフォーマルで清潔感があります。淡いブルーの無地も許容範囲です。
  • 襟の形: レギュラーカラーやワイドカラーが一般的です。ボタンダウンシャツは、企業によってはカジュアルすぎると見なされる場合があるので、避けた方が無難です。
  • 清潔感: アイロンがけをしっかり行い、襟元や袖口の汚れにも注意しましょう。
• ネクタイ:
  • 色・柄: 派手な色や奇抜な柄は避け、スーツやシャツの色に合わせて、青系、エンジ系、グレー系などの落ち着いた色合いで、無地、小紋柄、レジメンタルストライプなどを選びましょう。企業のコーポレートカラーを意識した色を取り入れるのも、さりげないアピールになる場合があります。
  • 結び方: ディンプル（結び目の下のくぼみ）をきれいに作り、緩みがないようにしっかりと締めます。
• ベルト: 革製で、靴の色と合わせるのが基本です（黒い靴なら黒いベルト）。バックルはシンプルなデザインのものを選びましょう。
• 靴下: 黒や紺などのダーク系で、座った時に素肌が見えない長さのものを選びます。
• 靴: 黒または濃い茶色の革靴で、紐靴（ストレートチップやプレーントゥなど）が最もフォーマルです。ローファーはカジュアルな印象を与えるため、避けた方が良いでしょう。事前にしっかりと磨き、汚れがないか確認しましょう。
• 鞄: A4サイズの書類が折らずに入る、自立するタイプのビジネスバッグが基本です。色は黒や紺、茶色などの落ち着いたものが良いでしょう。
• その他: 髪型は清潔感を第一に、顔周りがすっきり見えるように整えます。ひげは基本的に剃るのが望ましいですが、整えられている場合は許容されることもあります。腕時計以外のアクセサリーは基本的に避けた方が無難です。

【女性編】転職面接の服装：スーツまたは上品なビジネスカジュアル

女性の場合も、基本的にはスーツスタイルが無難ですが、企業の社風や職種によっては、上品なビジネスカジュアルも許容されることがあります。

• スーツ（ジャケット＋スカートまたはパンツ）：
  • 色: ネイビー、グレー、黒、ベージュなどの落ち着いた色が基本です。
  • デザイン: シンプルで体にフィットしすぎない、動きやすいものを選びましょう。
  • スカート丈: 座った時に膝が隠れる程度、立った時に膝丈くらいが一般的です。
  • パンツスタイル: 活動的な印象を与え、近年では一般的になっています。
• インナー（ブラウス・カットソー）：
  • 色: 白や淡いパステルカラー（ピンク、ブルー、イエローなど）、ベージュなどが清潔感があり、顔映りも良くなります。
  • デザイン: シンプルで、胸元が開きすぎないものを選びましょう。フリルやレースが過度なものは避けた方が無難です。
  • 素材: 透けにくい素材を選び、下着の色にも配慮しましょう。
• ストッキング: ナチュラルなベージュ系のストッキングを着用するのがマナーです。伝線してしまった場合に備え、予備をバッグに入れておくと安心です。
• 靴: 黒や紺、ベージュなどの落ち着いた色のパンプスが基本です。ヒールの高さは3～5cm程度が歩きやすく、フォーマルな印象を与えます。つま先の開いたオープントゥやサンダル、ミュール、派手な装飾のあるものは避けましょう。事前に磨き、ヒールのかかとがすり減っていないかなども確認します。
• 鞄: A4サイズの書類が折らずに入る、自立するタイプのビジネスバッグが良いでしょう。色は黒、紺、ベージュ、グレーなどの落ち着いたものが基本です。
• その他: 髪型は清潔感を第一に、顔周りをすっきりとまとめます。長い髪は一つに束ねるなど工夫しましょう。メイクは派手になりすぎない、健康的で知的な印象を与えるナチュラルメイクを心がけます。アクセサリーは、結婚指輪や小ぶりなネックレス、ピアス（イヤリング）程度にし、華美になりすぎないように注意します。香水は控えるのがマナーです。

「服装自由」「私服でお越しください」と言われた場合の対応

企業から「服装自由」や「私服でお越しください」といった指示があった場合、どのような服装で行くべきか悩むかもしれません。これは、応募者の個性やTPOを判断する能力を見たい、あるいはリラックスした雰囲気で面接を行いたいといった企業の意図が考えられます。

• 基本は「オフィスカジュアル（ビジネスカジュアル）」:
  • 男性: ジャケットに襟付きのシャツ（ノーネクタイも可）、スラックスやチノパン、革靴といったスタイルが無難です。
  • 女性: ジャケットにブラウスやカットソー、きれいめのスカートやパンツ、パンプスといったスタイルが良いでしょう。
  • いずれも、清潔感があり、ビジネスシーンにふさわしい落ち着いた色合いやデザインのものを選びましょう。
• 避けるべき服装: Tシャツ、ジーンズ、パーカー、スウェット、スニーカー、サンダル、露出の多い服装、派手な色や柄の服装など、明らかにカジュアルすぎる格好や、だらしない印象を与えるものは避けましょう。
• 迷ったらスーツが無難な場合も: 特に金融業界や官公庁、歴史のある企業など、比較的堅い社風が予想される場合は、スーツを着用していく方が安心なこともあります。企業のホームページで社員の服装の雰囲気を確認したり、転職エージェントに相談したりして判断すると良いでしょう。
• 「普段通りの服装で」と言われた場合: これもオフィスカジュアルを基本と考えますが、応募する企業の社風や職種（例えばアパレル業界やクリエイティブ系の職種など）によっては、ある程度個性的な服装が許容される場合もあります。ただし、面接というフォーマルな場であることを忘れず、清潔感と相手への敬意を欠いた服装にならないように注意が必要です。

オンライン面接（Web面接）の服装：対面と変わらない意識で

オンライン面接の場合でも、服装の基本は対面での面接と変わりません。画面越しであっても、あなたの印象は服装に大きく左右されます。

• 上半身だけでなく全身の服装を整える: 画面に映るのは主に上半身ですが、不意に立ち上がったり、カメラのアングルが変わったりする可能性も考慮し、下半身もきちんとした服装を着用しましょう。
• 顔映りが良い色を選ぶ: 白や淡い色のトップスは、画面越しでも顔色を明るく見せる効果があります。
• 背景とのコントラストも考慮: 背景の色に服装が溶け込んでしまわないように、コントラストを意識した色選びも大切です。
• 柄物や細かいストライプは避ける: カメラの性能や通信環境によっては、細かい柄やストライプがちらついて見えたり（モアレ現象）、不鮮明に映ったりすることがあります。無地や大きめの落ち着いた柄が無難です。
• アクセサリーは控えめに: 光の反射で面接官の集中を妨げたり、マイクが音を拾ってしまったりする可能性があるため、ネックレスやイヤリングなどは小ぶりでシンプルなものにしましょう。

季節ごとの服装の注意点（夏・冬）

季節に応じた服装選びも、相手への配慮を示す上で大切です。

• 夏:
  • 企業から「クールビズでお越しください」といった指示がない限りは、基本的にジャケットを着用するのがマナーです。ただし、面接会場に到着するまではジャケットを脱ぎ、汗をかかないように工夫しましょう。
  • 汗対策として、制汗剤を使用したり、ハンカチやタオルを持参したりすることも忘れずに。
  • インナーが汗で透けないように、吸湿速乾性のある素材のものを選んだり、色に注意したりしましょう。
• 冬:
  • コートやマフラー、手袋といった防寒具は、面接会場の建物に入る前に脱ぎ、受付を済ませる前にはきちんと畳んで腕にかけるか、鞄にしまうのがマナーです。面接室に持ち込む際は、椅子の横や鞄の上に置きます。
  • 面接中はコートを着用しないため、会場の暖房状況によっては肌寒く感じることもあります。ジャケットの下に薄手のセーターやカーディガンを着用する（スーツの場合はシャツの下に保温性の高いインナーを着る）などの工夫も良いでしょう。ただし、着ぶくれして見えないように注意が必要です。

面接前に最終チェック！服装・身だしなみリスト

面接当日の朝、家を出る前にもう一度、以下の点を最終チェックしましょう。

• スーツやシャツにシワや汚れ、ほつれはありませんか？
• シャツの襟元や袖口は汚れていませんか？
• ネクタイはきちんと締まっていますか？（男性）
• 靴は磨かれていますか？かかとはすり減っていませんか？
• 髪型は整っていますか？フケなどはありませんか？
• 爪は短く清潔に切られていますか？（ネイルをする場合は派手すぎないか）
• （男性の場合）ひげはきちんと剃られていますか？（整えている場合は清潔感があるか）
• （女性の場合）ストッキングに伝線はありませんか（予備は持ちましたか）？メイクは濃すぎず、ナチュラルですか？
• 持ち物（応募書類、筆記用具、メモ帳など）は揃っていますか？
• ハンカチ、ティッシュは持ちましたか？
• 口臭や体臭は大丈夫ですか？

まとめ

転職面接における服装は、あなた自身の第一印象を決定づけるだけでなく、企業への敬意や社会人としての常識を示す重要な要素です。「何を着るか」だけでなく、「どのように着こなすか」という点にも意識を向け、清潔感を第一に、TPOをわきまえた服装選びを心がけましょう。

服装に自信が持てれば、心にも余裕が生まれ、面接でのパフォーマンス向上にも繋がります。この記事でご紹介したポイントを参考に、万全の準備で面接に臨み、あなたの魅力を最大限にアピールしてください。

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岩下隼人

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ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。