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転職したら年金手続きはどうする?退職から再就職までのパターン別徹底ガイド

岩下隼人
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転職は、新しいキャリアへの期待とともに、様々な手続きが必要となる時期です。特に「年金」に関する手続きは、将来の生活設計にも関わるため、正確に理解し、忘れずに行うことが非常に重要です。退職から次の会社への入社までの期間や状況によって、必要な手続きが異なるため、少し複雑に感じるかもしれません。

この記事では、転職に伴う公的年金(国民年金・厚生年金)の手続きについて、具体的なパターン別に必要な書類や流れ、注意点などを分かりやすく解説していきます。

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日本の公的年金制度の基本をおさらい

まず、日本の公的年金制度の基本的な仕組みを簡単に確認しておきましょう。日本の公的年金は、大きく分けて以下の2つがあります。

  1. 国民年金(基礎年金): 日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられている年金制度です。働き方などによって、以下の3つの被保険者区分に分けられます。
    • 第1号被保険者: 自営業者、学生、無職の方など。自分で保険料を納付します。
    • 第2号被保険者: 会社員や公務員など、厚生年金保険や共済組合に加入している方。保険料は給与から天引きされ、事業主も負担します。国民年金にも自動的に加入していることになります。
    • 第3号被保険者: 第2号被保険者に扶養されている配偶者(主に専業主婦・主夫)で、年収が一定額未満の方。保険料の自己負担はありません。
  2. 厚生年金保険: 主に会社員や公務員が加入する年金制度で、国民年金(基礎年金)に上乗せして支給されます。

転職の際には、この被保険者の種別が変更になる場合があり、それに伴う手続きが必要になります。

転職時の年金手続き:3つの基本パターン

転職時の年金手続きは、退職してから新しい会社に入社するまでの期間や状況によって、主に以下の3つのパターンに分けられます。

パターン1:退職後すぐに(翌日など間を空けずに)新しい会社に入社する場合

前の会社を退職した翌日にすぐ新しい会社に入社するなど、厚生年金の被保険者資格が途切れない場合は、個人が特別に行う年金手続きはほとんどありません。

  • 手続きの流れ:
    1. 前の会社で厚生年金の資格を喪失する手続きが行われます。
    2. 新しい会社で厚生年金の資格を取得する手続きが行われます。これらの手続きは、基本的にそれぞれの会社が日本年金機構に対して行います。
  • 個人が準備するもの:
    • 年金手帳または基礎年金番号通知書: 新しい会社に基礎年金番号を伝えるために提出します。
    • マイナンバー(個人番号): 会社によってはマイナンバーの提出を求められます。

このケースでは、厚生年金の加入期間が継続するため、国民年金への切り替え手続きなどは不要です。

パターン2:退職後、次の会社に入社するまでに期間が空く場合(1日でも空けば該当)

前の会社を退職してから、新しい会社に入社するまでに1日でも期間が空く場合(例えば、月末に退職し、翌月の数日後や翌々月に入社する場合など)は、その期間中、厚生年金から国民年金(第1号被保険者)への切り替え手続きが必要になります。

  • 手続き内容:厚生年金から国民年金(第1号被保険者)への種別変更手続き
  • 手続き場所: お住まいの市区町村の役所・役場の国民年金担当窓口
  • 手続き期限: 原則として、退職日の翌日から14日以内
  • 必要なもの(一般的な例):
    • 年金手帳または基礎年金番号通知書
    • 退職日が確認できる書類(離職票、健康保険資格喪失証明書、退職証明書など)
    • マイナンバーカードまたは通知カード
    • 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
    • 印鑑(自治体によって不要な場合もあります)
  • 保険料の支払い: 国民年金第1号被保険者となった期間は、ご自身で国民年金保険料を納付する必要があります。納付書が送られてくるので、金融機関やコンビニエンスストアなどで支払いましょう。口座振替やクレジットカード払いも可能です。

そして、新しい会社に再就職したら、入社と同時に厚生年金に加入します。この際、国民年金(第1号被保険者)から厚生年金(第2号被保険者)への切り替え手続きは、新しい会社が日本年金機構に対して行います。 個人が市区町村役場で特別な手続きをする必要は基本的にありませんが、新しい会社には年金手帳または基礎年金番号通知書、マイナンバーなどを提出します。

パターン3:退職後、配偶者の扶養に入る場合(第3号被保険者になる)

退職後、すぐに再就職せず、厚生年金または共済年金に加入している配偶者の扶養に入る場合は、国民年金の第3号被保険者への切り替え手続きが必要です。

  • 第3号被保険者になれる条件:
    • 配偶者が第2号被保険者であること。
    • 自身の年間収入が130万円未満(一定の障害がある場合は180万円未満)であることなど、健康保険の扶養認定基準と同様の基準が用いられることが一般的です。
  • 手続き場所: 配偶者の勤務先を通じて行います。配偶者に依頼し、必要な書類を提出してもらいます。
  • 必要なもの(一般的な例):
    • 配偶者の会社から指示される書類(第3号被保険者関係届など)
    • 年金手帳または基礎年金番号通知書
    • マイナンバーカードまたは通知カード
    • 退職日が確認できる書類(離職票など)
    • (場合によって)収入を証明する書類
  • 保険料の支払い: 第3号被保険者の期間は、国民年金保険料を自分で納付する必要はありません。配偶者が加入する年金制度全体で負担する仕組みになっています。

その後、ご自身が新しい会社に就職し厚生年金に加入する場合は、第3号被保険者から第2号被保険者への切り替え手続きを新しい会社が行います。

転職時に必要な年金関連の書類

転職時の年金手続きで、主に必要となる書類は以下の通りです。

  • 年金手帳または基礎年金番号通知書: ご自身の基礎年金番号を確認するために必要です。新しい会社への提出や、国民年金への切り替え手続きの際に提示を求められます。
  • マイナンバーカードまたは通知カード: 各種手続きでマイナンバーの提示を求められることが一般的です。
  • 退職日が確認できる書類(必要な場合): 離職票、健康保険資格喪失証明書、退職証明書など。国民年金への切り替え手続きの際に必要となることがあります。

これらの書類は、手続きをスムーズに進めるために事前に準備しておきましょう。

年金手続きを忘れた場合のリスク

万が一、退職後の国民年金への切り替え手続きなどを忘れてしまうと、以下のようなリスクが生じる可能性があります。

  • 国民年金保険料の未納期間の発生: 未納期間があると、将来受け取れる老齢基礎年金の額が減ってしまう可能性があります。
  • 障害年金や遺族年金が受け取れなくなる可能性: 病気やケガで障害が残った場合に受け取れる障害基礎年金や、万が一の場合の遺族基礎年金は、保険料の納付要件が満たされていないと受給できないことがあります。
  • 保険料の遡及納付: 後から気づいて手続きをしても、過去の保険料を遡って納付する必要が生じることがあります。ただし、納付できる期間には限りがあります。

手続きの遅れや漏れがないよう、退職が決まったら速やかに確認・行動することが大切です。

企業型確定拠出年金(企業型DC)・iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している場合の注意点

公的年金に加えて、企業型確定拠出年金(企業型DC)やiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している場合は、転職時に別途手続きが必要になります。

企業型DCに加入していた場合

前の会社で企業型DCに加入していた場合、退職するとその資格を喪失します。積み立てた年金資産は、原則として退職後6ヶ月以内に、iDeCo(個人型確定拠出年金)または転職先の企業型DC(制度があれば)に移換する手続きが必要です。

  • 手続きをしないとどうなる?: 6ヶ月以内に移換手続きを行わないと、年金資産は国民年金基金連合会に「自動移換」されます。自動移換されると、運用ができなくなるだけでなく、管理手数料がかかり続けるといったデメリットがあります。
  • 確認事項: 転職先の会社に企業型DC制度があるか、ある場合は加入できるかを確認しましょう。

iDeCoに加入している場合

iDeCoに加入している方が転職した場合、被保険者種別(第1号、第2号、第3号)の変更に伴い、加入者資格の変更手続きが必要になることがあります。

  • 手続き内容: 登録事業所や掛金額の変更など。
  • 確認事項: 転職先の企業に企業型DC制度がある場合、iDeCoと併用できるか、掛金の上限額はどうなるかなどを確認しましょう。

これらの手続きは、加入している運営管理機関(金融機関など)に問い合わせて行います。

年金手続きに関するよくある質問(Q&A形式)

Q1. 年金手帳を紛失した場合はどうすればいい?

A1. 基礎年金番号通知書で代用できます。基礎年金番号通知書も手元にない場合は、お近くの年金事務所または市区町村の役所の国民年金担当窓口で再発行の手続きができます。マイナンバーカードがあれば、基礎年金番号の確認が可能です。

Q2. 短期間の離職でも国民年金への切り替えは必要?

A2. はい、原則として1日でも厚生年金の被保険者資格がない期間があれば、国民年金への切り替え手続きが必要です。

Q3. 国民年金保険料の支払いが困難な場合はどうすればいい?

A3. 失業などにより保険料の納付が経済的に困難な場合は、保険料の「免除制度」や「納付猶予制度」を利用できる場合があります。お住まいの市区町村の役所の国民年金担当窓口や年金事務所にご相談ください。承認されると、その期間は保険料の納付が免除または猶予されます(将来受け取る年金額には影響があります)。

まとめ:転職時の年金手続きは、将来の安心のための重要なステップ。自分の状況に合わせて、忘れずに確実に手続きを行おう。不明な点は年金事務所や市区町村役場に確認を。

転職は、新しいキャリアを築くための大きな一歩ですが、それに伴う年金手続きも将来の生活を守るために欠かせません。ご自身の状況(退職から再就職までの期間、扶養に入るかどうかなど)をしっかりと把握し、必要な手続きを漏れなく行うことが大切です。

手続きに関して不明な点や不安なことがある場合は、自己判断せずに、お近くの年金事務所や市区町村の役所の国民年金担当窓口、あるいは新しい会社の人事・総務担当者に遠慮なく相談しましょう。正しい手続きで、安心して新しいスタートを切ってください。

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岩下隼人
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ロイヤル合同会社 代表
ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。
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