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【転職と退職金】確定申告は必要?手続き・税金計算・還付のポイント完全ガイド

岩下隼人
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転職や退職という大きな節目には、これまでの勤労に対する一つの区切りとして「退職金」が支給されることがあります。まとまった金額を受け取る機会となるため、喜びも大きい一方で、「この退職金って税金はどうなるの?」「確定申告って必要なのかな?」「何か手続きをしないと損をしてしまうの?」といった税金に関する疑問や不安が頭をよぎる方も多いのではないでしょうか。

退職金は、長年の功労に報いるための大切な資金であり、その税金の取り扱いを正しく理解しておくことは、手元に残る金額を大きく左右する可能性があり、非常に重要です。特に、「退職所得の受給に関する申告書」の提出有無が、確定申告の必要性を大きく分けるポイントとなります。

この記事では、転職時や退職時に受け取る退職金と確定申告の関係について、どのような場合に確定申告が必要になるのか、あるいは不要なのか、具体的な手続きの流れ、税金の計算方法、そして払い過ぎた税金が戻ってくる(還付される)可能性まで、分かりやすく徹底的に解説します。この記事を読めば、退職金の税務処理に関するあなたの疑問が解消され、適切に対応するための一助となるはずです。

(※重要:退職金制度の内容や計算方法、税制は、勤務先の企業の規定や法改正などにより変更されることがあります。本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新かつ正確な情報、個別のケースについては、必ず勤務先の人事・総務担当者や、お近くの税務署、税理士などの専門家にご確認ください。)

Contents
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なぜ転職時の「退職金」で確定申告が気になる?基本を理解しよう

まず、なぜ退職金を受け取ると確定申告が関係してくるのか、その基本的な仕組みから見ていきましょう。

退職金と所得税・住民税の基本的な関係

退職金は、税法上「退職所得」として扱われ、所得税と住民税の課税対象となります。ただし、退職金は長年の勤労に対する報奨金としての性格や、退職後の生活保障という重要な役割を持つため、**他の所得(給与所得や事業所得など)とは分けて税額を計算する「分離課税」という方式が取られ、さらに大きな税負担軽減措置(退職所得控除など)**が設けられています。

「退職所得の受給に関する申告書」提出の有無が鍵

退職金にかかる所得税の精算方法として、最も重要なポイントとなるのが、退職金を受け取るまでに勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出したかどうかです。

  • 提出した場合: 企業がこの申告書に基づいて正しい所得税額を計算し、退職金から源泉徴収してくれます。この場合、原則として自分で確定申告をする必要はありません。
  • 提出しなかった場合: 退職金の支払額に対して一律20.42%の税率で所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されます。この場合、通常は税金を払い過ぎている状態になるため、自分で確定申告を行うことで、正しい税額に精算し、払い過ぎた税金の還付を受けることができます。

(重要)税制は変更の可能性あり!最新情報は必ず公的機関で確認を

繰り返しになりますが、税法や関連する制度は改正されることがあります。この記事で概要を掴んだ後は、必ず国税庁のウェブサイトや、最寄りの税務署、あるいは税理士といった専門家にご確認いただくことが非常に重要です。

【ケース別】退職金を受け取ったら確定申告は必要?不要?

では、具体的にどのような場合に確定申告が必要・不要、あるいはした方が良いケースがあるのか見ていきましょう。

原則として確定申告が「不要」になるケース

  • 「退職所得の受給に関する申告書」を退職金を受け取るまでに勤務先に提出した場合。 この場合、企業側が退職所得控除などを考慮して適切な所得税額を計算し、源泉徴収(天引き)してくれるため、退職金に関しては原則として確定申告は不要です。
  • (上記に加え、他に確定申告が必要となる所得や控除がない場合)

確定申告が「必要」になる主なケース

  • 「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出しなかった場合: この場合、退職金の支払額に対し一律20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)が源泉徴収されます。多くの場合、この源泉徴収額は本来納めるべき税額よりも多くなっているため、確定申告をすることで差額の還付を受けることができます。
  • 海外の企業から退職金を受け取るなど、日本国内で源泉徴収が行われていない場合。
  • 年の途中で退職し、退職金以外の所得(例:再就職先の給与所得、副業の所得など)があり、それらと合わせて年末調整だけでは所得税の精算が完結しない場合。

確定申告をすると「税金が戻ってくる(還付される)可能性」があるケース

上記の「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合に加え、以下のようなケースでも確定申告をすることで税金が還付される可能性があります。

  • 退職所得控除額が、実際に控除された額よりも大きかった場合。 (例:勤続年数が短く、申告書未提出で源泉徴収されたが、退職所得控除を適用すると税金が発生しない、または少なくなる場合)
  • 退職した年に、医療費控除、寄付金控除、生命保険料控除、住宅ローン控除(初年度など)といった各種所得控除を受けたい場合。 退職所得もこれらの控除の対象となる(または影響する)ことがあります。

退職金の税金計算のキホン:「退職所得控除」を理解しよう

退職金にかかる税金を計算する上で、最も重要なのが「退職所得控除」です。

退職所得控除とは?その計算方法(勤続年数に応じて)

退職所得控除は、勤続年数が長くなるほど控除額が大きくなる仕組みになっており、これにより税負担が大幅に軽減されます。

  • 勤続20年以下の場合: 40万円 × 勤続年数 (計算結果が80万円に満たない場合は、80万円となります)
  • 勤続20年超の場合: 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)

※勤続年数に1年未満の端数がある場合は、1年に切り上げて計算します。

※障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、上記金額に100万円が加算されます。

退職所得金額の計算ステップ

  1. 退職所得の金額の算出: (退職金の収入金額 - 退職所得控除額) × 1/2 ※この計算結果が課税対象となる退職所得の金額です(1,000円未満切り捨て)。 ※役員等勤続年数が5年以下の方が受け取る役員退職手当等については、上記計算式の「× 1/2」の適用がない場合があります。

退職所得は他の所得と分けて税額計算(分離課税)

退職所得は、給与所得や事業所得といった他の所得とは合算せず、退職所得だけで税額を計算する「分離課税」の方式が取られます。これにより、他の所得と合算されて高い税率が適用されるのを避けることができます。

転職時の退職金に関する確定申告:手続きの流れと準備するもの

実際に確定申告を行う場合の手続きの流れと、事前に準備しておくべきものです。

確定申告の期間はいつからいつまで?

確定申告の期間は、原則として所得があった年の翌年2月16日から3月15日までです。ただし、税金の還付を受けるための「還付申告」の場合は、その年の翌年1月1日から5年間行うことができます。

必要な書類を準備しよう

  • 退職所得の源泉徴収票: 退職金の支払者(元の勤務先など)から交付されます。確定申告書に添付して提出します。これが最も重要な書類の一つです。
  • (給与所得がある場合)給与所得の源泉徴収票: 同じ年に給与所得もあった場合は、その源泉徴収票も必要です。
  • マイナンバーカード(または通知カードと本人確認書類): 申告書へのマイナンバーの記載と、e-Tax利用時や税務署窓口での本人確認に必要です。
  • 各種控除証明書(該当する場合): 医療費の領収書、生命保険料控除証明書、寄付金の受領証など、他の所得控除も併せて申告する場合に必要です。
  • 還付金の振込先口座情報(本人名義)。
  • 印鑑(認印): 申告書に押印が必要な場合があります(e-Taxの場合は不要なことも)。

申告書の作成方法:国税庁「確定申告書等作成コーナー」が便利

確定申告書は、以下のいずれかの方法で作成できます。

  • 国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」: 画面の案内に従って入力するだけで、退職所得の計算も含めて簡単に申告書を作成できます。作成したデータはe-Taxで送信したり、印刷して郵送したりできます。
  • 税務署で相談しながら作成: 確定申告期間中は、税務署に相談窓口が設けられることがあります。
  • 会計ソフトの利用。
  • 税理士に依頼する(費用がかかります)。

申告書の提出方法

  • e-Tax(電子申告): 自宅からインターネット経由で提出できます。マイナンバーカードとICカードリーダライタ、またはマイナンバーカード対応のスマートフォンが必要です。
  • 郵便または信書便で税務署に送付。
  • 税務署の窓口に直接提出(時間外収受箱への投函も可能)。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合の確定申告

前述の通り、この申告書を提出しなかった場合は、退職金の支払額に対して一律20.42%の税金が源泉徴収されます。

なぜ一律20.42%が源泉徴収されるのか

「退職所得の受給に関する申告書」が提出されないと、企業は退職所得控除額を計算できないため、概算として一律の税率で源泉徴収する決まりになっています。

確定申告で正しい税額に精算し、還付を受ける手順

この場合、確定申告を行うことで、退職所得控除などを適用して正しい税額を計算し直し、源泉徴収された税額との差額(多くの場合、払い過ぎた税金)の還付を受けることができます。手続きは、通常の確定申告と同様の流れです。

確定申告を忘れたり、間違えたりしたらどうなる?

納税が必要なのに申告しなかった場合のペナルティ

もし、退職金以外にも申告すべき所得があり、結果として納税が必要だったにもかかわらず確定申告をしなかった場合は、「無申告加算税」や「延滞税」といったペナルティが課される可能性があります。

還付申告の期限は5年間

払い過ぎた税金の還付を受けるための申告(還付申告)は、その所得があった年の翌年1月1日から5年間行うことができます。期限を過ぎると還付を受けられなくなるので注意しましょう。

間違いに気づいた場合の訂正申告・更正の請求

申告内容に誤りがあった場合は、法定申告期限内であれば「訂正申告」を、期限後であれば税額を多く申告しすぎた場合は「更正の請求」、少なく申告しすぎた場合は「修正申告」を行うことができます。

転職と退職金・確定申告に関するQ&A

Q1: 退職所得の源泉徴収票はいつもらえる?

A1: 通常、退職金の支払いと同時か、退職後1ヶ月以内程度に、退職金を支払った企業から交付されます。もし届かない場合は、速やかに元の勤務先に問い合わせましょう。

Q2: 確定申告のやり方が難しくて分からない場合は?

A2: まずは国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」のヘルプや手引きを参照してみましょう。それでも難しい場合は、税務署の相談窓口(確定申告期間中は電話相談センターも設置されます)に問い合わせるか、無料相談会などを利用する、あるいは税理士に相談することを検討してください。

Q3: 企業型確定拠出年金(企業型DC)の退職時の一時金も確定申告が必要?

A3: 企業型DCの資産を退職時に一時金として受け取る場合も、原則として退職所得として扱われ、税金がかかります。「退職所得の受給に関する申告書」を運用管理機関(または企業)に提出していれば、適切な源泉徴収が行われるため、基本的には確定申告は不要です。提出していない場合は、確定申告で精算が必要です。

まとめ:退職金の確定申告、正しく理解して適切な手続きを

転職時や退職時に受け取る退職金は、あなたのこれまでの勤労に対する大切な成果であり、今後の生活設計においても重要な資金です。その税金の取り扱い、特に確定申告の必要性については、「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出したかどうかが大きな分かれ目となります。

多くの場合、この申告書を提出していれば確定申告は不要ですが、提出しなかった場合や、医療費控除など他の控除を受けたい場合は、確定申告をすることで払い過ぎた税金が戻ってくる可能性があります。

制度はやや複雑に感じるかもしれませんが、この記事を参考に、ご自身の状況を確認し、必要な手続きを期限内に正しく行うことで、安心して新しいキャリアをスタートさせましょう。不明な点があれば、臆せず税務署や専門家に相談することが大切です。あなたの新しい門出が、税金のことで煩わされることのないよう願っています。

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岩下隼人
ロイヤル合同会社 代表
ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。
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