テンバガーとは株価が10倍になった銘柄、なりそうな大化け株を指します。テンバガーを発掘するのは株式投資家なら誰でも夢見る事でしょう。
「テンバガー株の発掘方法」を、米国株投資家・広瀬隆雄さん(じっちゃま)が解説してくれていたので、ご紹介します。
広瀬隆雄さん(じっちゃま)は、米国株のテーマ、銘柄分析の第一人者。米国をはじめとする世界の政治・経済に精通し、グローバル投資、新興国市場にも明るい方です。
じっちゃまとは?

テンバガーを発掘する早道は、金利環境が長期に渡り改善する環境下で、10銘柄ほど有望と思われる銘柄に均等に分散投資し、それらの銘柄が「良い決算」を出し続ける限り保有し続けることだと思います。そして「悪い決算」を出した銘柄はすぐ切り、他のテンバガー候補を加えます。

金利環境が長期に渡り改善する環境下とは、利上げが終わり、政策金利が水平飛行に入った環境下のことです。利上げ(=金利が高止まり)している状況下では、経済が勢いを失っていきます。そして、経済が勢いを失えば失うほど「早く利下げを!」という声が高まります。

金利低下局面ではロングデュレーション(=利益が無い、もしくは黒字転換するまで長い助走期間を要するような企業)の投資機会ほどバリュエーションの底上げが起こりやすいです。

実際、ぐいぐい金利を引き上げている利上げ時期には「テンバガー達成!」というような声はSNS等でも余り聞かなかった筈です。その間、アグレッシブグロース株は10倍になるどころか、逆に8分の1とか9分の1に下がる銘柄がゴロゴロ出ました。

利上げの終了は、今後その逆が起こる……そういう話をしています。だからテンバガー発掘に際してリセッション(景気後退)は「敵」なのではなく、フレンドだという事を忘れないでください。

次に経営者の言っている事を聞くのではなく、やっていることを観察してください。具体的には投資家を喜ばせているか?という一点に特に注意を払う事です。投資家にとって一番うれしいのは甘言、空約束などではなく、きっちり毎期の決算で「良い決算」を出してくることです。

だから保有銘柄がちゃんと「良い決算」を出したか?ということは必ずノートなどに書き留め、覚える習慣をつけてください。これを習慣付けることが出来ないうちは、あなたは良い投資家にはなれません。

それでは「良い決算」の定義ですが、それは
- EPSで事前コンセンサス予想を上回る事
- 売上高で事前コンセンサスを上回る事
- ガイダンスが事前コンセンサスを上回る事
です。このすべてを充足して、はじめて「良い決算」と言えるのであり、このうちのひとつでも取りこぼせば、それは「悪い決算」です。

「悪い決算」を出した株はすぐ切る事。なお、めぼしい銘柄を10銘柄選ぶ……といいましたが、10銘柄が全部テンバガーになるというようなことはあ・り・え・な・い・です。かならず決算で落胆させる銘柄が出てきます。そのときはクールに損切すること。

特に利上げ終了後は、リセッションに入るかもしれない、そのような局面では、マクロ経済の逆風を理由に決算をしくじる銘柄が増えます。これは致し方ないことです。しかしポトリ、ポトリと墜落する銘柄が多いからこそ、最期まで良い決算を出し続ける一握りの銘柄に世界の投資家の資金が集中するというわけです。言い直せば、銘柄間格差の時代が来るということです。

「良い決算」を出し続ける企業のマルチプルはどんどんマルチプル・エクスパンションを起こします。マルチプル・エクスパンションとは株価収益率(PER)の倍率が高くなるということです。いま「EPSが伸びる」という事に加えて、そのEPSに対して投資家が払っても良いと思う「倍率が伸びる」ことから
「EPSの伸び」×「倍率の伸び」
で株価は面白いように伸びるというわけです。

まだ海のものとも山のものともわからないような、エキサイティングで未来を先取りしたような投資ストーリーは博打すぎるので、安定的に「良い決算」を出せない企業が大半です。これらはテンバガー発掘に向きません。

しかし毎月定期購読のようなカタチでリピート売上高が期待できるSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)のようなビジネスは「良い決算」が立て続けに出やすいと言えるかもしれません。

「良い決算」が3回、4回と続かないといけないということは……必然的にその銘柄を1年とか1年半保有し続けないといけないことを意味します。それは決算発表を跨いでその株を保有せざるを得ないことを意味します。

「良い決算」はクセになり、次も、その次も「良い決算」が続くケースが多いです。「悪い決算」を出す企業は、常習犯的に落胆させる決算を出し続けるものです。だから「良い決算」の銘柄を保有し続け、「悪い決算」はすぐに切るということを励行しなければポートフォリオはメチャクチャになってしまいます。
以上、じっちゃまが語った「テンバガー(10倍株)発掘法」でした。
また、じっちゃまは「投資家が読むべきおすすめ書籍」も紹介してましたので、そちらの内容に興味がある方は下記をご参照下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。