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BASEに何が起きた?突然の大量株取得と「ポイズンピル」発動の背景を解説

岩下隼人
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ネットショップ作成サービス「BASE」で知られ、多くの個人事業主やクリエイターを支援するBASE株式会社。その同社が2025年3月19日、「会社の乗っ取りに対する防衛策(ポイズンピル)を導入します」という、非常に緊迫した内容の発表を行いました。

「一体誰がBASEを狙っているの?」

「なぜ今、ポイズンピルを導入する必要があるの?」

「今後の株価はどうなってしまうんだろう?」

この記事では、BASEの公式発表を基に、この突然の事態の背景と、導入されたポイズンピルの仕組み、そして今後の展開について、株式投資の初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

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発端:個人投資家・牧寛之氏による突然の株式大量取得

全ての始まりは、2025年3月上旬のことでした。牧寛之(まき ひろゆき)氏という一人の個人投資家が、市場でBASEの株式を急速かつ大量に買い集めていることが、大量保有報告書によって明らかになったのです。

そして3月13日、牧氏はBASE社に対し、驚くべき意向を伝えてきました。

  • 最終的にBASEの株式の30%超を取得する意向であること
  • 今後の買い増しは、市場での取引ではなく**「公開買付け(TOB)」**によって行う予定であること
  • 株式を保有する目的は**「支配権プレミアムを獲得し享受すること」**であること

「支配権プレミアム」とは、少し難しい言葉ですが、会社の経営に影響を与えられるほどの多くの株を持つことで得られる特別な価値(例えば、会社ごと他社に高く売却する際の利益など)を指す、と考えることができます。

BASE経営陣が抱いた「4つの懸念」

この牧氏の突然の動きに対し、BASEの経営陣は強い懸念を抱き、すぐさま対抗策の準備に入りました。会社側が公式に発表した懸念点は、主に以下の4つです。

懸念1:情報が少なすぎて株主が混乱する

牧氏が今後BASEの経営をどうしたいのか、具体的な経営方針がほとんど示されていませんでした。 6このような情報不足のままTOBが始まれば、株主は適切な判断ができず、市場が大きく混乱してしまう、と会社は考えました。

懸念2:株が短期間で転売されるかもしれない

牧氏の保有目的が「支配権プレミアムの獲得」であることや、氏が関連する過去の投資事例(例えばクックパッド社のケース)を見ると、今回買い集めたBASEの株式が、短期間で第三者にまとめて転売される可能性が否定できません。もし会社の価値を理解しない相手に株が渡れば、BASEの事業や株主全体の利益が損なわれる恐れがあります。

懸念3:議決権の行方が不透明

牧氏は「信用取引」という、証券会社から資金を借りて株式投資を行う方法で株を取得していました。この方法だと、株主総会での議決権が法的に誰に帰属し、どのように行使されるかが非常に不透明であり、会社の経営に予期せぬ影響が及ぶことが懸念されました。

懸念4:過去の投資先でのトラブル

会社側の調査によると、牧氏が関連する過去の投資先企業(例えば乾汽船社のケース)では、役員の解任を求めて何度も訴訟を起こすなど、経営陣と激しく対立し、混乱を引き起こしたと捉えられかねない事例があったことも、懸念材料とされました。

対抗策として導入された「有事導入型ポイズンピル」の仕組み

これらの深刻な懸念を踏まえ、BASEの取締役会は、株主全体の利益を守るために買収防衛策(ポイズンピル)の導入を決定しました。

今回導入されたのは、平時から用意しておく一般的な「事前警告型」とは異なり、今回のように具体的な買収の脅威が現れてから緊急で導入する**「有事導入型」**と呼ばれるタイプのポイズンピルです。 その仕組みは、経営陣の独断を防ぎ、株主の意思を尊重する慎重なものになっています。

  • ステップ1:情報提供のお願いまず、買収者である牧氏に対し、買収の目的や買収後の経営方針など、株主が判断するために必要な情報を詳しく説明するよう求めます。
  • ステップ2:株主の意思を確認会社が防衛策を発動すべきかどうか、原則として**「臨時株主総会」**を開き、株主の投票によってその意思を確認します。経営陣だけで勝手には決めません。
  • ステップ3:ポイズンピルの発動株主総会で「防衛策を発動すべし」と承認され、それでもなお牧氏が買収計画を撤回しない場合に限り、最終手段としてポイズンピル(新株予約権の無償割当て)が発動されます。

また、これらの判断が経営者の「保身」のためではないことを担保するため、社外取締役が中心となる**「独立委員会」**が設置され、その客観的な意見を最大限尊重するルールも設けられています。

今後の展開と投資家としての心構え

この発表により、今後の焦点は、まず牧氏がBASEの定めた手続きに従って情報を提供するのか、そして実際に臨時株主総会が開かれた場合に、株主たちがどのような判断を下すのか、という点に移ります。

私たち投資家にとって、このような事態は以下の点を心に留めておく必要があります。

  • 株価の変動リスク買収を巡る攻防が表面化すると、様々な思惑から株価は短期間に大きく、そして激しく変動する可能性が高まります。
  • 情報収集の重要性会社の公式発表(IR情報)はもちろん、買収者である牧氏側から提出される大量保有報告書など、双方からの情報を注意深く見守ることが重要になります。
  • 冷静な判断を状況は非常に複雑であり、今後の結末を正確に予測することは極めて困難です。「何か儲かるチャンスかも」といった投機的な売買は大きな損失につながるリスクがあり、特に初心者のうちは、事の推移を冷静に見守るのが賢明と言えるでしょう。

まとめ

  • 2025年3月、個人投資家の牧寛之氏がネットショップ作成サービスのBASEの株式を大量に取得し、追加でTOB(株式公開買付け)を行う意向を示しました。
  • BASEの経営陣は、情報不足による株主の混乱や、短期転売による企業価値の毀損などを懸念し、対抗策として**「有事導入型ポイズンピル」**の導入を決定しました。
  • このポイズンピルは、原則として臨時株主総会で株主の承認を得なければ発動できない、株主の意思を尊重した仕組みになっています。
  • 今後、牧氏の対応と、実際に株主総会が開かれた場合の株主の判断が、最大の焦点となります。
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岩下隼人
岩下隼人
ロイヤル合同会社 代表
ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。
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