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メタプラネットの「売上」は重要?株価の価値を決める、より大切な指標とは

岩下隼人
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株式投資の基本として、多くの人がまず「売上高」や「利益」といった業績に注目します。売上が伸びている会社は成長しており、良い会社だと考えるのが一般的です。

では、「メタプラネットの売上はいくらなんだろう?」と疑問に思うのは、ごく自然なことです。

しかし、もしあなたが同社の決算書を見て、その売上高の数字を見たら、おそらく驚くでしょう。会社の巨大な時価総額に比べて、売上の数字は非常に小さいからです。「こんなに売上がないのに、なぜ株価はこんなに高いんだ?」と、混乱してしまうかもしれません。

この記事では、その疑問の答えを解き明かし、なぜメタプラネットにとって「売上」が重要ではないのか、そして、その代わりに本当に注目すべき指標は何かを、初心者にも分かりやすく解説します。

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メタプラネットの「売上」の現状

まず、事実を確認しましょう。メタプラネットが2025年5月に発表した第1四半期(1月〜3月)の決算によると、売上高は約8.7億円でした。

この数字は、前年同期比では大きく伸びていますが、それでも数千億円にものぼる同社の時価総額と比べると、非常に小さいことが分かります。そして、この売上の多くは、かつて主力だったホテル事業の残りや、その他事業から来ています。

この事実から分かることは一つです。それは、株式市場は、メタプラネットを「売上」で評価していない、ということです。

なぜ「売上」が重要ではないのか?ビジネスモデルの転換

その理由は、メタプラネットがそのビジネスモデルを180度転換したからです。現在のメタプラネットは、モノやサービスを売って売上を伸ばす会社ではありません。

同社は、自らを**「ビットコイントレジャリー企業」**と定義しています。これは、会社の資産の大部分をビットコインで保有し、その価値の成長によって企業価値全体を高めることを目的とする、新しい形の会社です。

金(ゴールド)を保有する会社で考えてみよう

このユニークなビジネスモデルを理解するために、ある会社を想像してみてください。その会社の事業はただ一つ、「世界中から金(ゴールド)を買い集め、巨大な金庫に保管し続けること」です。

あなたはこの会社の価値を、「金の売上」で評価するでしょうか?おそらくしないはずです。代わりに、以下の2点に注目するでしょう。

  1. 「どれだけの量の金を保有しているか?」
  2. 「現在の金の価格はいくらか?」

メタプラネットは、これと全く同じです。ただ「金」が**「ビットコイン」に置き換わっただけなのです。同社の目的は、ビットコインを売って「売上」を立てることではなく、ひたすら保有し続けることで、その「資産価値」**を高めることにあります。

「売上」の代わりに注目すべき最重要指標

では、売上の代わりに、私たちはどこに注目すれば良いのでしょうか。メタプラネットの真の価値を測るための最重要指標は、以下の通りです。

1. ビットコインの保有量

これが最も重要な基本データです。会社がどれだけのビットコインを資産として持っているかを示します。この情報は、同社が毎月発表する「月次報告」や、ビットコインを追加購入した際のIR情報で確認できます。

2. 保有ビットコインの時価総額

「保有量 × 現在のビットコイン価格」で計算できる、同社の資産の「現在の価値」です。これが、メタプラネットの企業価値の大部分を占めています。

3. 1株あたりのビットコイン価値

これは少し上級者向けの指標ですが、「保有ビットコインの時価総額 ÷ 発行済株式総数」で計算できます。会社が新株発行(希薄化)をしても、それを上回るペースでビットコインを増やせているか、つまり「1株あたりの価値」がきちんと高まっているかを確認するための重要な指標です。

例外:将来の「新しい売上」の可能性

ただし、一つだけ例外があります。メタプラネットは将来的に、保有するビットコインを活用して収益を生む**「ビットコイン所得生成事業」**を開始することを計画しています。

これは、例えば保有ビットコインを貸し出して金利を得たり、オプション取引などを活用してプレミアム収入を得たりするものです。もしこの事業が本格的に始まれば、それはメタプラネットにとっての「新しい売上」となり、将来的に注目すべき指標になる可能性があります。しかし、現時点での評価軸の中心は、あくまで保有するビットコインそのものの価値です。

まとめ

株式投資の常識では、「売上」は企業の成長を測る王様のような指標です。しかし、メタプラネットという「新しい時代の会社」を評価するためには、私たち投資家もその「ものさし」を変える必要があります。

メタプラネットの価値は、損益計算書の「売上」欄には書かれていません。その価値は、貸借対照表の「資産」欄に、**「ビットコイン」**という名前で輝いています。

このビジネスモデルの特異性を理解し、売上という伝統的な指標の呪縛から解放されること。それが、メタプラネットという会社を正しく分析するための、第一歩となるでしょう。

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岩下隼人
岩下隼人
ロイヤル合同会社 代表
ロイヤル合同会社を設立して、新しいことに挑戦している人や、頑張っている会社を応援中。ときどき取材記者(ライター)。
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